AFTER-SCHOOL CARE
塾が学童保育に参入する|補助が使える事業と、使えない事業の分かれ目
教室が空いている夕方の時間に学童を、と考えている段階だと思います。小学生の保護者との接点もあり、預かりなら授業より講師の負担は軽そうに見えます。
学童には、塾には無いものがあります。運営そのものを支える公的な仕組みです。塾にはそれがありませんが、学童は制度として補助の対象になっています。
ただし補助を受けるには基準があり、その基準が「空いている教室を使う」という形とぶつかります。ぶつかるのは専用の区画と、そこに置く職員です。
SHORT ANSWER
結論から。 分かれ目は補助の有無ではなく、放課後児童健全育成事業として届け出るかどうかです。 届け出るなら補助の対象になり得る一方で、市町村の条例基準を守る義務がかかります。 基準は専用区画を「開所している時間帯を通じて専らこの事業の用に供する」ことを求めるため、 塾の教室と兼用する形はここでぶつかります。 「空いている時間に足す」ではなく、もう1つ事業を立ち上げると考えたほうが、必要な人と場所を見誤りません。
塾との制度の違いは第1章、市場の担い手は第2章、基準とのぶつかりは第3章で扱います。 塾側の補助の状況はプログラミング教室のページでも触れています。 開業そのものの手順は開業ガイドにあります。
塾には無い補助が、学童にはある
塾を経営していると、運営費そのものを継続して補助してもらう場面はほとんどありません。設備投資やIT導入のように業種を問わず使える制度はありますが、 塾という事業そのものの運営費を継続して支える公的な仕組みはありません。 いわゆる「塾代助成」は自治体が保護者に出すもので、塾に入るお金ではありません。
学童は違います。放課後児童健全育成事業として、事業者に対する補助の枠組みがあります。 市町村が実施主体で、民間の事業者に補助を出す仕組みを持つ自治体があります。
どちらも子どもを相手にする事業ですが、学童には事業者向けの補助があります。塾から見て最初に目に入るのはここです。 ただし、支えがある事業には必ず要件があります。
補助の額は書きません
補助の仕組みは市町村ごとに違います。実施主体が市町村なので、対象・単価・上限が自治体によって変わります。 全国一律の数字を出すと、自分の地域では当てはまらない前提で計画を立てることになります。 本ページでは制度の所在と要件の構造までを扱い、金額は自分の市町村の要綱で確かめていただく前提にしています。
増えているのは株式会社だけ
需要は伸びています。令和8年度速報値(令和8年5月1日時点)で登録児童数は1,602,037人、前年から31,392人増えました。 支援の単位数も40,159で735増、待機児童は14,713人で1,617人減っています。受け皿が追いついてきている段階です。 以下の内訳は、詳細を調べた確報値がある令和7年5月1日時点のものです。速報値のため、今後自治体による修正等により若干の変動が生じ得る。確報値は同年12月下旬に公表予定とされています。
塾からの参入で見るべきなのは、その受け皿を誰が用意しているかです。
読み方 3つの帯は運営の形です。公立公営は自治体が自分で運営する形、公立民営は自治体が民間へ委託する形、民立民営は民間が自前で開く形です。 塾から参入するときに当てはまるのは、いちばん下の民立民営で、6,585か所(25.4%)あります。 前年からの増減を見ると、減っているのは公立公営(-376)だけで、公立民営は+467、民立民営は+202です。 内訳では、公立民営の8区分のうち増えたのは3区分で株式会社の+745が最大、民立民営の8区分では6区分が増えています。 委託を取る形と、自前で開く形は、必要な仕事がまったく違います。前者は自治体の選定に通ることが仕事で、後者は保護者に選ばれることが仕事です。
出典: こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(令和7年5月1日現在)(こども家庭庁)表2。当社がPDFの表から全行を転記しました。 設置・運営主体別のクラブ数であって、売上や利益の比較ではありません。 公立民営の増加には、自治体が既存のクラブの運営を民間へ委託し直した分が含まれます。新規に開いた数ではありません。
減っているのは公立公営(-376か所)だけで、民営はどちらも増えています。 内訳では株式会社の伸びが最も大きく、公立民営で+745、民立民営で+73です。
ここで分けて見ておきたいのが、委託を受ける形と、自前で開く形です。 公立民営は自治体が運営を委託する形で、増加分には既存のクラブの委託先が変わった分も含まれます。新しく開いた数ではありません。 塾から参入するときに当てはまるのは民立民営で、6,585か所(25.4%)あります。
この2つは、必要な仕事がまったく違います。 委託なら自治体の公募に通る力が、自前開設なら保護者に選ばれる教室づくりが要ります。 どちらを狙うのかで、最初に会いに行く相手から変わります。
「空いている時間に」では成立しない
塾から学童を考えるとき、最初に浮かぶのは時間帯の相性です。学童は放課後から夕方、塾は夕方から夜。 同じ教室を時間で分ければ、家賃を二重に払わずに済むように見えます。
ここで基準にぶつかります。
読み方 基準は「専用区画並びに設備及び備品等は、放課後児童健全育成事業所を開所している時間帯を通じて専ら当該放課後児童健全育成事業の用に供するものでなければならない」としています。 夕方は学童、夜は塾として同じ部屋を使う形は、この要件とぶつかります。 専用の区画を別に用意するなら、児童1人あたりおおむね1.65平方メートル以上が必要で、40人なら66平方メートル(約20坪)です。 職員も支援の単位ごとに2人以上で、うち1人は都道府県知事等の研修を修了した放課後児童支援員でなければなりません。 登録児童数が20人未満なら兼務の例外がありますが、実際に使っているのは252か所、全クラブの0.97%です。 制度上の通り道はあっても、そこを通って成立させている事業者はほとんどいない、ということです。
出典: 放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第63号)(e-Gov 法令検索・426M60000100063)第9条・第10条/ 兼務の実績は こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(令和7年5月1日現在)(こども家庭庁)表25。 本サイトは、自塾の教室がこの基準を満たすかどうかの判断を行いません。基準は市町村の条例で定められるため、実際の要件は自治体によって異なります。要件の所在を示すところまでとします。
放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準の第9条は、専用区画について「専用区画並びに設備及び備品等は、放課後児童健全育成事業所を開所している時間帯を通じて専ら当該放課後児童健全育成事業の用に供するものでなければならない」としています。 ただし書きで「利用者の支援に支障がない場合は、この限りでない」とありますが、 時間帯を分けて別の事業に使うことがこれに当たるかは、市町村の判断になります。
専用の区画を用意するなら、面積の基準がかかります。専用区画の面積は、児童一人につきおおむね1.65平方メートル以上でなければならないとされているので、 40人を受け入れるなら66平方メートル、約20坪が要ります。塾の1教室を丸ごと学童専用にする規模です。
人も同じです。放課後児童支援員の数は、支援の単位ごとに二人以上とするとされ、支援員は都道府県知事等の研修を修了していなければなりません。 支援の単位を構成する児童の数はおおむね40人以下です。
抜け道のように見える条項もあります。登録児童数が20人未満なら、支援員の一部が同一敷地内の他の事業所の職務と兼務できます。 塾との兼務を想定するならここになりますが、実際にこれを使っているのは252か所です。 20人未満のクラブ2,005か所の12.6%、全25,928クラブに対しては0.97%にすぎません。 制度上の通り道はあっても、そこを通って成立させている事業者はほとんどいないのが実態です。
いちばん重なるのは、夏休みである
場所の話の次は、時間の話です。平日だけを見ると、学童は放課後から夕方、塾は夕方から夜で、うまく分かれているように見えます。
分かれていないのは長期休暇です。
読み方 平日の学童は13時から14時に開くクラブが81.6%で、塾より早い時間から始まります。 問題は長期休暇です。9時前に開所するクラブが98%で、朝から一日開けることになります。 塾にとって夏休みは夏期講習の時期で、朝から夜まででいちばん人が要ります。 「塾が空いている時間に学童を」という発想が最も崩れるのが、この時期です。 加えて、年間250日以上開所しているクラブが89.2%あります。週に数回の授業で回る塾とは、必要な稼働がまるで違います。
開所時刻・開所日数の出典: こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(令和7年5月1日現在)(こども家庭庁)表7・表8・表10。当社がPDFの表から転記しました。 塾の帯は一般的な夏期講習の例として当社が置いたもので、統計ではありません。 学童の帯も、開所時刻の分布から幅を示したもので、個々のクラブの営業時間そのものではありません。
長期休暇中に9時前から開所しているクラブは98%です。学校が休みのあいだ、学童は朝から一日開けることになります。 統計が示しているのはここまでで、塾の側の時間帯は調査されていません。 それでも、夏期講習を朝から組んでいる塾なら、同じ時期・同じ時間帯に別の事業へ人を割くことになります。 自分の時間割と重ねて確かめてください。
日数の側も見ておく必要があります。年間250日以上開所しているクラブが89.2%、 そのうち280〜299日が59.6%です。週に数回の授業で回る塾とは、必要な稼働がまるで違います。
「教室が空いている時間に」という発想は、平日の数時間だけを見ています。 年間の稼働で見ると、学童は塾より長く開ける事業です。 足すのではなく、もう1つ事業を立ち上げると考えたほうが、必要な人と時間を見誤りません。
8割が月1万円未満で回っている
利用料をいくらにするかを考える前に、既にある水準を見ておく必要があります。
読み方 最も多いのは4,000〜6,000円未満で26.2%、1万円未満を合わせると80.6%になります。 これは公立を含む全クラブの値で、この水準で成り立つのは補助が入っているからです。 補助を受けない民間学童は、この分布の外側で自前の利用料だけを収入にします。 同じ「学童」でも、補助のある事業とない事業では、まったく別の価格帯で商売をすることになります。 自分がどちらをやるのかを決めないと、利用料の設計そのものが始まりません。
出典: こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(令和7年5月1日現在)(こども家庭庁)表38。当社がPDFの表から転記しました。 利用料を徴収している25,296か所が母数で、おやつ代等のみを徴収する505か所(2%)はこの図から除いています。 利用料の分布は公立を含む全クラブの値で、補助が入っているため水準が低い。補助を受けない民間学童はこの分布の外側にある。
最も多いのは4,000〜6,000円未満で26.2%、1万円未満を合わせると80.6%です。 塾の月謝と比べると、はるかに低い水準で運営されています。
この分布は公立を含む全クラブの値で、補助有無別に分けたものではありません。 ただし公的な補助が入っているクラブが大半を占めるため、利用料だけを収入にする形とは、前提がまったく違う水準だと考えたほうが安全です。 自前の利用料だけで人件費と家賃を賄うなら、必要な単価は別の帯になります。
保護者から見れば、どちらも「学童」です。近くに月5,000円のクラブがある地域で、月4万円の学童を選んでもらう理由を作れるかどうかが、この事業の設計そのものになります。
売上の天井が、制度の側で決まっている
塾では、席と講師が足りるかぎり在籍を増やせます。学童は違います。 一の支援の単位を構成する児童の数は、おおむね四十人以下とするとされているため、1つの単位で受け入れられる人数に上限があります。
実態はどうなっているか。こども家庭庁の放課後児童クラブ実施状況の登録児童数1,570,645人を支援の単位数39,424で割ると、 1つの単位あたり39.8人です。上限のおおむね40人に、ほぼ張り付いています。
これが意味するのは、利用者を増やしたいなら支援の単位を増やすしかないということです。 単位を増やせば、専用区画も66平方メートルずつ増え、支援員も二人以上とするが単位ごとに要ります。 売上を1.5倍にしたいときに、場所と人が同時に1.5倍要る構造です。
| 支援の単位 | 受け入れの上限 | 専用区画(おおむね) | 支援員(最少) |
|---|---|---|---|
| 1単位 | 40人 | 66平方メートル(約20坪) | 2人 |
| 2単位 | 80人 | 132平方メートル(約40坪) | 4人 |
| 3単位 | 120人 | 198平方メートル(約60坪) | 6人 |
面積は児童1人あたりおおむね1.65平方メートル、支援員は単位ごとに2人以上(うち1人は補助員で代えられます)という基準から計算した目安です。 実際の要件は市町村の条例によります。
塾のように「同じ場所で在籍だけ増やす」形の成長が効きません。 売上を伸ばす手段が、単価を上げるか、単位を増やすかの2つに絞られます。 単価は周辺の水準に引っ張られるので、実際には単位を増やすことになり、そのたびに固定費が段で上がります。 段の手前で止まると、いちばん利益が薄い状態で固定されます。
自前で開く以外に、委託を取る道がある
第2章で見たとおり、クラブの半分以上は公立民営で、自治体が民間へ委託する形です。 13,543か所(52.2%)あり、前年から+467増えています。 自前で開く民立民営(6,585か所)の2倍以上の規模です。
塾から入るとき、この道は検討する価値があります。場所は自治体が用意することが多く、利用者を自分で集める必要もありません。 公立公営が376か所減っていることからも、自治体が直営から委託へ移している流れは読み取れます。
- 仕事の中身が変わる 委託は自治体の選定に通ることが仕事です。募集の要項に沿った運営体制と実績を示すことが求められます。保護者向けの集客とは、用意する資料も会う相手も変わります。
- 実績が要る場合がある 募集の条件に運営実績を求める自治体があります。まず自前で1か所を運営し、そこを実績にして委託へ進むという順序になることがあります。その場合、最初から委託だけを狙うのは難しくなります。
- 単価は自分で決められない 委託料は自治体が決めます。利用者を増やしても収入が比例して増えるとは限りません。自前で開く形とは、伸ばし方の考え方が変わります。
- 契約期間で切れる 委託には期間があり、次の選定で外れれば終わります。教室の資産が自分に残らない形なので、契約が切れれば、その施設での運営は続けられません。
どちらを狙うかで、最初に会いに行く相手が変わります。委託なら市町村の担当課、自前なら物件と保護者です。 両方を同時に追うと、必要な準備が噛み合いません。先に決めてください。
補助ありと補助なしは別の商売
ここまでを整理すると、学童には性質の違う2つの形があります。どちらをやるのかを先に決めないと、必要な投資も価格も決まりません。
| 項目 | この事業として届け出る | 届け出ない(預かりのサービスとして行う) |
|---|---|---|
| 手続き | あらかじめ市町村長へ届け出る | この法律にもとづく届出は要らない |
| 設備・職員 | 市町村の条例基準を守る義務がある。専用区画と支援員の配置がかかる | この基準はかからない |
| 検査 | 市町村長が報告を求め、立ち入って検査できる | この規定の対象にならない |
| 補助 | 対象になり得る(制度は市町村ごと) | 対象にならない |
| 塾との相性 | 場所と人を分ける必要がある | 学習を売りにできる |
塾が持っている強みは、預かりではなく学習です。 補助を受けない形なら、そこを前に出して価格を作れます。逆に補助を受ける形では、 場所も人も学童のために分ける必要があり、塾の資源をそのまま使う発想は成り立ちません。
「補助が使えるから学童を」と考えて入ると、いちばん使いたかった空き教室と既存の講師を、そのままでは使えません。 どちらの形で成立させるのかを、物件を探す前に決めてください。
講師をそのまま充てる想定は置かない
人手の面でも、塾の資源は思ったほど流用できません。
- 時間帯が重なる 学童は放課後から夕方、塾も小学生のコースは同じ時間帯に入ります。空いていると思っていた時間に、すでに人を置いていることがあります。自分の教室の時間割で確かめてください。
- 授業より安全管理と生活の見守りが中心になる 塾は指導、学童は預かりです。主な仕事は、安全の確保、保護者への連絡、こどもの生活の見守りです。教えるのが得意な人が、そのまま向くとは限りません。
- 補助を受けるなら資格が要る 放課後児童支援員は、都道府県知事等が行う研修を修了した者でなければなりません。研修には定員と日程があるので、人を採ってから研修を受けさせる時間を工程に入れておく必要があります。
塾の人件費の考え方は塾経営のページで扱っています。 学童を足す場合は、そこに別の人件費が乗ると考えてください。
初期費用は、確かめる順番を間違えない
開業資金がいくらかを知りたくなりますが、学童の初期費用に相場を出すのは難しい面があります。 基準が市町村の条例で決まるうえ、物件を新しく借りるのか既存の建物を使うのかで桁が変わるためです。 本サイトでは、出所を示せない相場の数字を載せていません。
相場を置く代わりに、確かめる順番を決めます。前の章までに出た制約を、決める順に並べ替えると次のようになります。
- 1. どちらの形でやるかを決める 児童福祉法(昭和22年法律第164号)にもとづく事業として届け出るのか、届け出ない預かりのサービスとして行うのか。ここが決まらないと、必要な面積も人も決まりません。物件を見る前に決める項目です。
- 2. 市町村の条例と要綱を読む 国の省令は内閣府令で定める基準を参酌するものとするという位置づけで、実際に守る基準は市町村の条例です。補助の要綱も市町村ごとに違います。担当課で両方を確認してください。
- 3. 受け入れ人数から面積を出す 何人を受け入れるかを先に置き、そこから専用区画の広さを逆算します。40人なら66平方メートルが目安です。物件を見てから人数を決めると、上限に届かない面積を借りることになります。
- 4. 研修の日程を工程に入れる 放課後児童支援員は都道府県知事等の研修を修了した者に限られます。研修には定員と日程があるので、人を採ってから開所までの間に受けさせる時間が要ります。ここを見落とすと、場所が用意できているのに開けません。
- 5. 開所日と時間を決めてから人件費を積む 第4章のとおり、年間250日以上開所するクラブが89.2%、長期休暇中は98%が9時前から開きます。この稼働を前提に人を置くと、月謝の何倍もの人件費が先に立ちます。週何日・何時間で始めるかを決めてから積んでください。
この5つを順に埋めると、必要な面積・人数・稼働が出ます。そこまで来て初めて、金額が計算できます。 固定費から必要な在籍数を出す計算は収支シミュレーターで試せます。 相場から入ると、自分の市町村では通らない前提で計画を組むことになります。
やめる基準を、始める前に決めておく
学童には、塾と違う畳みにくさがあります。利用している家庭にとって、放課後の預け先がなくなるからです。 年度の途中でやめると、通っている家庭の生活が直接止まります。だから、始める前に基準を決めておく必要があります。
- 年度で区切る 判断の単位を年度にして、次の4月に続けるかどうかを前年の秋までに決めます。年度の途中でやめる選択肢を最初から外しておくと、前年の秋までに収支と人員を確かめる運用になります。
- 塾の側が痩せていないかを見る 学童に人と時間を割いた結果、塾の在籍や指導の質が落ちていないかを数字で見ます。学童が塾の在籍から取っているだけになっていないかを見ます。
- 補助の要件が変わったときに続くか 補助は制度なので、要件も単価も変わります。補助が今の水準でなくなっても続けられるかを、始める時点で一度計算しておいてください。
塾そのものを畳む・譲るときの実務は塾を畳むか譲るかのページにあります。
よくあるご質問
- 塾に学童を足すと、補助金が使えますか。
- 使える場合と使えない場合があります。補助の対象になる放課後児童健全育成事業には基準があり、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準の第9条は「専用区画並びに設備及び備品等は、放課後児童健全育成事業所を開所している時間帯を通じて専ら当該放課後児童健全育成事業の用に供するものでなければならない」としています。夕方は学童、夜は塾として同じ部屋を使う形は、この要件とぶつかります。専用の区画を別に用意するなら対象になり得ますが、児童一人あたりおおむね1.65平方メートル以上が必要で、40人なら66平方メートル(約20坪)です。なお基準は市町村の条例で定められるため、実際の要件は自治体によって異なります。自塾が満たすかどうかの判断は本サイトでは行いません。
- 補助を受けない民間学童という選び方はどうですか。
- 成り立つ形ですが、価格帯がまったく変わります。こども家庭庁の放課後児童クラブ実施状況によると、放課後児童クラブの月額利用料は4,000〜6,000円未満が最も多く26.2%、1万円未満を合わせると80.6%です。これは公立を含む全クラブの値で、この水準で回るのは補助が入っているからです。補助を受けない民間学童は、この分布の外側で自前の利用料だけを収入にします。同じ「学童」でも別の商売だと考えて、どちらをやるのかを先に決めてください。
- 学童の市場はこれから伸びますか。
- 令和8年度速報値(令和8年5月1日時点)で登録児童数は1,602,037人、前年から31,392人増えました。支援の単位数は40,159、待機児童は14,713人で1,617人減っています。需要は伸びていて、受け皿も増えている状態です。ただしこれは全国の数字で、自分の商圏に待機が出ているかは市町村の公表資料で確かめてください。
- 誰が運営しているのですか。
- こども家庭庁の放課後児童クラブ実施状況の設置・運営主体別で見ると、公立公営が5,800か所(22.4%)、公立民営が13,543か所(52.2%)、民立民営が6,585か所(25.4%)です。前年比では、減っているのは公立公営(-376か所)だけで、公立民営は+467、民立民営は+202です。内訳では株式会社の伸びが最も大きく、公立民営で+745、民立民営で+73でした。ただし公立民営の増加には、自治体が既存クラブの委託先を変えた分が含まれます。委託先として選ばれる形と、自前で開く形は分けて考えてください。塾から参入するときに当てはまるのは民立民営です。
- 放課後児童支援員は何人必要ですか。
- 放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準の第10条は「放課後児童支援員の数は、支援の単位ごとに二人以上とする。ただし、その一人を除き、補助員をもってこれに代えることができる」としています。支援員は都道府県知事等が行う研修を修了した者でなければなりません。また支援の単位を構成する児童の数はおおむね40人以下とされています。登録児童数が20人未満の事業所には兼務の例外がありますが、実際にこれを使っているのは252か所で、20人未満のクラブ2,005か所の12.6%、全クラブに対しては0.97%です。
- 放課後等デイサービスとは違うのですか。
- 別の事業です。放課後等デイサービスは障害のあるこどもを対象とした障害児通所支援で、児童福祉法にもとづく指定を受けて行います。必要な人員配置も報酬の仕組みも、本ページで扱う放課後児童健全育成事業とは異なります。検索の量は放課後等デイサービスのほうが多いのですが、塾からの参入を考える場合は必要な知識も許認可も別になるため、本サイトでは扱っていません。
- 塾の生徒がそのまま学童の利用者になりますか。
- 学年が違います。学童の対象は小学生で、塾の在籍が中学生や高校生に寄っている場合、そのままでは重なりません。小学生向けのコースを持っているなら、保護者との接点はすでにあるので案内はしやすくなります。ただし学童は預かりで、塾は指導です。求められるものが違うため、既存の講師をそのまま充てる想定は置かないでください。
本ページで使用した統計と条文
- 放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第63号)(e-Gov 法令検索・426M60000100063)第9条・第10条。
- こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(令和7年5月1日現在)(こども家庭庁)表2・表19・表25・表38。当社がPDFの表から転記しました。
本ページの計算は上記の一次データから当社が行いました。 利用料の分布は公立を含む全クラブの値で、補助が入っているため水準が低い。補助を受けない民間学童はこの分布の外側にある。 本サイトは、自塾の教室がこの基準を満たすかどうかの判断を行いません。基準は市町村の条例で定められるため、実際の要件は自治体によって異なります。要件の所在を示すところまでとします。 放課後等デイサービス・児童発達支援は障害児通所支援で別の制度のため、本ページでは扱っていません。