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塾の入塾契約書と規約|法律が求める2枚の書面と、渡す順番

入塾の手続きで渡しているのが、案内のプリント1枚だけという教室は少なくありません。開校して数年たってから、辞めるときの返金でもめて初めて手元の書面を見返す、という順序になりがちです。

学習塾の契約は、条件を満たすと特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)の対象になります。その場合に求められるのは1枚ではなく2枚で、渡す時期も別々に決まっています。

自塾が対象になるかの4つの条件、2枚の書面それぞれに書く内容、メールで渡すときの条件。この3つを条文から出します。業界団体が公開している雛形の所在も載せました。

本サイトは書面の雛形を配布しません。業界団体が公開しているものを案内します。自塾の契約が法令の要件を満たすかどうかの判断も行いません。条文と所管の窓口を示すところまでとします。

教室の受付机に置かれたクリアファイル入りの書類とボールペン、印鑑ホルダー
※写真はイメージです。特定の教室や事例を示すものではありません。

SHORT ANSWER

概要書面は契約の前、契約書面は契約のあとです。根拠はどちらも同じ特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)第42条第1項と第42条第2項にあります。

対象になるかは、役務の内容、期間、金額、対象者と場所の4つで決まります。月謝の額だけでは決まりません。

該当の確かめ方は第2章、契約書面の記載事項は第4章、雛形の所在は第7章にあります。 値上げのときに書面のどこが変わるかは塾の値上げのページ、 畳むときの前受金の扱いは塾を畳む・譲るのページで扱っています。

1. 書面は2枚あって、渡す時期が違う

条文には2つの書面が出てきます。名前が似ているので混ざりやすいのですが、渡す時期が違うため、1枚では両方を満たせません。

書面 条文 渡す時期
概要書面 第42条第1項 当該特定継続的役務提供等契約を締結するまでに
契約書面 第42条第2項 特定継続的役務提供契約を締結したときは、遅滞なく

言い換えると、契約する前に、これから結ぶ契約の概要を書いた書面を渡す。そのうえで、契約したあと、遅れずに契約の内容を明らかにする書面を渡すという順です。

どの場面で、どちらの書面を渡すか 2枚は名前が似ていますが、渡す時期が条文で別々に決まっています 契約を締結するまで 締結したあと 面談・説明 勧誘の段階 概要書面 第42条第1項 契約の成立 申込み・承諾 契約書面 第42条第2項 8日が経過 第48条第1項 ここから8日 8日の数え始めは、契約した日ではなく契約書面を受け取った日です 1種類しか用意していないと、契約前に渡す書面がないまま手続きが進みます

読み方 左半分が契約の前、右半分が契約のあとです。概要書面は左に、契約書面は右にしか置けません。面談から署名までを同じ日に済ませる進め方でも、署名の前に概要書面を渡していれば時期の要件との関係は整理できます。用意しているのが1種類だけだと、そもそも分けようがありません。

出典: 特定商取引に関する法律 第42条第1項(当該特定継続的役務提供等契約を締結するまでに)、第42条第2項(特定継続的役務提供契約を締結したときは、遅滞なく)、第48条第1項。2026年8月9日に e-Gov 法令API から取得して確認しました。 図は条文の時期の要件を並べたもので、個別の契約がいつ成立するかの判断を示すものではありません。

よくある実務の形

面談の場で説明して、その日のうちに申込書に署名してもらう。同じ日でも、署名の前に概要書面を渡していれば時期の要件との関係は次のとおりです。ただ、書面を1種類しか用意していないなら、この2枚に分けるところから始まります。説明の場で渡すものと、契約が成立したあとに渡すものを、先に分けて作っておいてください。

2. 自塾が該当するかを、4つで確かめる

消費者庁は継続して提供される役務のうち7つを「特定継続的役務」として挙げていて、学習塾はそのひとつです。ただし、塾という看板を出していれば自動的に該当するわけではありません。

確かめること 内容
役務の内容 入学試験に備えるため、または学校教育の補習のための、学校(大学および幼稚園を除く)の児童・生徒・学生を対象とした学力の教授
場所 役務提供事業者の事業所その他、役務提供事業者がその役務提供のために用意する場所で提供されるものに限る(教室のほか、借り上げた集会所やマンションの一室も含む)
期間 2月を超えるもの
金額 5万円を超えるもの。入学金・受講料・教材費・関連商品の販売など、契約金の総額が5万円を超えていると対象になる

対象にならない例

  • 幼稚園または小学校に入学するための、いわゆる「お受験」対策は含まれない
  • 浪人生のみを対象にした役務(コース)は対象にならない。高校生と浪人生の両方が含まれるコースは、全体として対象になる

対象は小学生・中学生・高校生等に限定されるため、社会人向けの講座はこの定義から外れます。

月謝制は、原則として期間の要件を満たさない

ここが実務で効きます。消費者庁「特定継続的役務提供」Q&A Q27は、1か月単位で契約が更新される月謝制で役務が提供されている場合は、政令で定める期間を満たさないため、原則としてこの章の規制を受けない。ただし、役務の提供に必要であるとして教材を販売しているなど、契約の実態として政令で定める期間を越えて契約に拘束されると判断される場合は、規制を受ける場合があるとしています。

自塾がどちらかは、契約の形で変わります

1か月ごとに更新する月謝だけで運営していれば、原則としてこの章の規制の外にあります。一方、年間教材費をまとめて受け取っている、季節講習を年度単位で申し込ませているといった形だと、実態として期間を越えて拘束していると判断される場合があります。月謝の金額ではなく、契約がどこまで拘束しているかで分かれます。

どこで分かれるか(判定そのものは本サイトでは行いません) 4つを順に見ます。1つでも外れると、この章の書面の義務はかかりません 入試や補習のための学力の教授か いいえ 別の役務になる はい 自塾が用意した場所で提供するか いいえ 家庭教師に該当し得る はい 契約期間が2月を超えるか いいえ 月謝制は原則ここで外れる はい 契約金の総額が5万円を超えるか いいえ 対象にならない 書面の交付義務がかかる ただし、教材の販売などで 実態として拘束していれば 対象になる場合がある 月謝の金額ではなく、契約がどこまで拘束しているかで分かれます

読み方 上から順に見て、1つでも「いいえ」になればこの章の書面の義務はかかりません。実務でいちばん効くのは3つ目の期間です。1か月ごとに更新する月謝だけなら原則として外れますが、年間教材費をまとめて受け取っているような形だと、実態として期間を越えて拘束していると判断される場合があります。点線がその戻りです。

出典: 消費者庁「特定継続的役務提供」および同Q&A(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/continuousservices/)。2026年8月9日に当社が取得しました。 消費者庁「特定継続的役務提供」Q&A Q27の内容にもとづきます。本サイトは個別の契約が該当するかの判断を行いません。分かれ目の所在を示すものです。

オンラインだけの形は、別の役務になる

規制の外に出るわけではありません。消費者庁「特定継続的役務提供」Q&Aの「家庭教師」の項は、ファックスやテレビ電話によって提供されるいわゆる通信教育も、入学試験や学校教育の補習のための学力の教授にあたれば「家庭教師」に該当する。学習塾と家庭教師は、役務提供事業者が用意した場所で提供するかどうかで分かれるとしています。教室に通わせず自宅で受けさせる形は、学習塾ではなく家庭教師として扱われる可能性があります。家庭教師も特定継続的役務のひとつなので、書面の義務は同じようにかかります。

自塾の契約がこの4つを満たすかどうかの判断は、本サイトでは行いません。要件の所在を示すところまでとします。判断が分かれる形(オンラインと対面の併用、浪人生と高校生の混在コースなど)は、専門家または消費者庁の窓口にご確認ください。

3. 概要書面は、契約の前に渡す

第42条第1項は、当該特定継続的役務提供等契約を締結するまでに、当該特定継続的役務提供等契約の概要について記載した書面を交付しなければならないと定めています。

記載する内容は主務省令で定められています。実務では、業界団体が公開している一例(第7章)を土台にして、自塾のコース構成と料金体系に合わせて調整する形が取りやすくなります。

渡す場面を決めておく

  • 体験授業のあとの面談で渡すのか、申込書を出す前に渡すのか。
    「契約を締結するまでに」という要件を満たす場面を、教室の手順のどこに置くかを先に決めます。
  • 説明する人が誰か。
    面談を教室長が行うのか、講師も入るのか。渡す書面が人によって変わりやすいところです。
  • 渡した記録をどう残すか。
    後から確認できる形にしておくと、辞めるときの説明が早く済みます。

4. 契約書面に書く7つの事項

第42条第2項は、特定継続的役務提供契約を締結したときは、遅滞なく、次の事項について契約の内容を明らかにする書面を交付すると定めています。

記載事項
第1号 役務の内容と、購入が必要な商品がある場合はその商品名
第2号 役務の対価その他支払わなければならない金銭の額
第3号 前号の金銭の支払の時期及び方法
第4号 役務の提供期間
第5号 第48条第1項の規定による契約の解除に関する事項
第6号 第49条第1項の規定による契約の解除に関する事項
第7号 前各号のほか、主務省令で定める事項

第5号と第6号は、辞めるときの2つの制度に対応しています。第5号がクーリング・オフ、第6号が中途解約です。この2つを書面に書いていないと、辞めると言われたときに辞めるときに何を根拠に精算するかが手元にありません。

7つそろえれば足りる、とはなりません

第7号は「主務省令で定める事項」で、具体的な中身は省令に置かれています。法律の7つを並べただけでは記載事項をそろえたことになりません。事業者名や契約年月日、前受金の保全、特約の記載、注意書きの表示方法などは省令と消費者庁の解説で確認してください。

前受金がある教室は、ここが効いてきます

経済産業省・総務省「経済構造実態調査」(2020年)第5表(事業従事者5人以上の部)によると、個別指導方式の14,695事業所のうち、受講料の前受金がある事業所は8,805事業所で59.9%でした。季節講習費や年間教材費を先に受け取っている教室では、第2号の金額と第3号の支払時期をどう書いたかが、返金の話に直結します。

先にまとめて受け取ると、備え置く書類が増える

前受金には、書面の書き方とは別の義務がついてきます。第45条は、特定継続的役務提供に先立つてその相手方から政令で定める金額を超える金銭を受領する特定継続的役務提供に係る取引を前払取引と定義し、これを行うときはその業務及び財産の状況を記載した書類を、特定継続的役務提供等契約に関する業務を行う事務所に備え置かなければならないとしています。

保護者の側には、前払取引の相手方は、書類の閲覧を求め、又は事業者の定める費用を支払つてその謄本若しくは抄本の交付を求めることができるという定めがあります。渡す書面とは別に、事務所に置いておく書類が要るということです。消費者庁の解説では、前払方式で5万円を超える場合が対象として挙げられています(政令で定める金額)。

年間分をまとめて受け取るか月ごとに受け取るかは、集金の都合で決めがちです。ただしこの選び方で、かかる義務が変わります。書面を作るときに、料金の受け取り方まで含めて決めてください。自塾の取引が前払取引に当たるかどうかの判断は、本サイトでは行いません。

畳むときに前受金をどう精算するかは塾を畳む・譲るのページで扱っています。月謝を変えるときにこの書面のどこが動くかは、塾の値上げのページで扱っています。

5. 規約と契約書面は、別のもの

入塾規約や塾生規約という名前で、通塾のルールをまとめている教室は多くあります。遅刻や欠席の扱い、教室での過ごし方、送迎の決まりなど、運営を回すために必要な取り決めです。

これは法律が求める契約書面とは別のものです。規約を整えても、契約書面の記載事項を満たしたことにはなりません。逆に、契約書面の要件を満たしても、日々の運営ルールが決まっていなければ現場は回りません。

書面 何のためのものか
概要書面・契約書面 法律が交付を求めているもの。記載事項が条文で決まっている
入塾規約・塾生規約 通塾のルール。内容は教室が決める。契約書面の一部として位置づける形もある
運営マニュアル 講師と職員が見るもの。保護者には渡さない

業界団体が公開している例では、入塾約款が契約書面の一部として位置づけられています。規約を契約書面の一部にするのか、別立てにするのかを先に決めてください。ここが曖昧なまま両方を配ると、どちらが契約の内容なのかが後から分からなくなります。

6. メールやアプリで渡すには、承諾が要る

紙をやめて、保護者アプリやメールで渡したいという相談は増えています。条文にも電磁的方法の定めがあります。

第42条第4項は、政令で定めるところにより、相手方の承諾を得て、書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合、書面を交付したものとみなすとしています。

承諾が前提です

承諾を得ることが前提です。紙をやめて一斉にメール配信へ切り替える、という運用にはなりません。承諾の取り方は政令と省令で定められています。

紙とデータを併用する教室も少なくありません。切り替えを検討するときは、承諾をどこで取るか、取れなかった家庭にどう渡すかの2つを先に決めておくと、運用が分かれずに済みます。

7. 雛形は、業界団体が公開している

ゼロから作る必要はありません。学習塾の業界団体が、書面の一例を公開しています。当社が2026年8月9日に確認したところ、いずれも配信されていました。

公開元 資料
公益社団法人 全国学習塾協会 概要書面の一例(Word形式)
公益社団法人 全国学習塾協会 契約書面の一例 その2(入塾約款の例)(Word形式)
公益社団法人 全国私塾情報センター 学習塾の開示書面・契約書面の条項(Webページ)

そのまま使えるものではなく、自塾のコース構成・料金体系・解約の運用に合わせた調整が要ります。土台があることと、要件を満たしていることは別です。調整したあとに、条文の記載事項と突き合わせて確認してください。

本サイトは書面の雛形を配布しません。業界団体が公開しているものを案内します。自塾の契約が法令の要件を満たすかどうかの判断も行いません。条文と所管の窓口を示すところまでとします。公開元のURLは本ページ末尾に記載しています。第三者が公開している資料のため、所在が変わることがあります。

8. 渡していないと、8日が始まらない

書面の整備が後回しになりやすいのは、入塾のときには誰も困らないからです。ただ、渡していない状態には、続く限り効いてくる性質があります。

第48条第1項は、クーリング・オフについて「第42条第2項又は第3項の書面を受領した日から起算して8日を経過したときを除き、書面または電磁的記録により契約の解除を行うことができる」と定めています。

数え始めは、契約日ではありません

8日の数え始めは、契約日でも入塾日でもなく、契約書面を受け取った日です。書面を渡していなければ、この8日は始まりません。入塾から半年たっていても、書面を渡していなければ、その期間は経過していないことになります。

契約書面を渡したかどうかで、8日の数え方が変わる 入塾日からでも契約日からでもなく、契約書面を受け取った日から数えます 渡した場合 8日 ここで期間が終わる 受け取った日 渡していない場合 起算しない 入塾から半年たっていても、渡していなければ8日は経過していません 記載事項が入っていない書面を渡した場合も、条文は同じ扱いを求めています 根拠: 第48条第1項

読み方 上の帯は、契約書面を渡した場合です。受け取った日から8日で終わります。下の帯は渡していない場合で、数え始める起点がないため終わりません。入塾から何年たっていても同じです。書面の整備を後回しにすると、この状態が在籍している家庭の数だけ積み上がります。

出典: 特定商取引に関する法律 第48条第1項(2026年8月9日に e-Gov 法令API から取得)。条文は「第42条第2項又は第3項の書面を受領した日から起算して8日を経過したときを除き、書面または電磁的記録により契約の解除を行うことができる」としています。 図は条文上の関係を示すもので、個別の事案がどう扱われるかの判断ではありません。

条文にある行政の措置と罰則

書面の交付は義務として定められているため、違反したときの措置も条文にあります。

条文 内容
第46条第1項
(指示)
第42条第1項から第3項まで、第43条、第44条または第45条の規定に違反した場合などに、主務大臣が是正のための措置などを指示できる
第47条第1項
(業務の停止等)
同じ違反で利益が著しく害されるおそれがあるとき、または指示に従わないときに、2年以内の期間を限って業務の全部または一部の停止を命じることができる。個人の場合は、同じ期間について法人の役員となることの禁止も併せて命じられる
第71条第1号
(罰則)
第42条第1項から第3項までの規定に違反して、書面を交付しなかったとき、規定する事項が記載されていない書面を交付したとき、虚偽の記載のある書面を交付したときに、6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。併科されることもある

罰則の条文が、渡していない場合と、記載事項が入っていない書面を渡した場合を並べて挙げている点が実務では重要です。案内のプリントを渡していれば足りる、という形にはなっていません。

本サイトは、個別の運営がこれらに当たるかどうかの判断を行いません。条文の所在を示すところまでとします。実際に行政の措置や罰則の対象になるかは、個別の事情によって変わります。ここでは、書面を整えるかどうかを決めるための材料として、条文の所在を示しています。

9. 書面がないまま運営している場合の順序

開校から何年か経っていて、いま渡しているのが案内のプリントだけ、という状態からの進め方です。

  1. いま渡しているものを全部集める。
    入塾案内、料金表、申込書、規約。入塾のときに保護者へ渡している紙とPDFを、名前にかかわらず一度集めます。
  2. 第4章の7つと突き合わせる。
    どの項目がどの紙に書いてあるか、抜けているのはどれかを表にします。
  3. 前受金の残高を確認する。
    季節講習費や年間教材費を先に受け取っている場合、返金の扱いを書面にどう書くかで精算の根拠が変わります。
  4. これからの入塾分から始める。
    在籍している契約をさかのぼって作り直すかどうかは、専門家に相談してから決めてください。新規分から直すほうが、面談の手順を変えやすくなります。
  5. 面談の手順に組み込む。
    書面だけ作っても、面談の流れに渡す場面が入っていなければ抜けます。第3章の「渡す場面」を面談の流れに置いてください。

辞めるときに効いてきます

書面の整備が後回しになりやすいのは、入塾のときには誰も困らないからです。問題になるのは辞めるときです。返金の額と解約日を説明する根拠が、手元にありません。畳むときの前受金の扱いは塾を畳む・譲るのページで扱っています。

よくあるご質問

入塾のご案内やパンフレットを渡していれば、書面を交付したことになりますか。
特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)が求めているのは、決められた事項を記載した書面です。案内やパンフレットに一部の項目が載っていても、それだけで足りるとは限りません。とくに契約書面は、第42条第2項の各号に挙がっている7つを明らかにするものと定められています。いま渡しているものにこの7つが入っているかを、条文と突き合わせて確認してください。
概要書面と契約書面は、1枚にまとめてもよいですか。
条文は概要書面を「契約を締結するまでに」、契約書面を「契約を締結したときは、遅滞なく」交付すると定めています。渡す時期が違うため、1枚にまとめると片方の時期を満たせません。まとめてよいかどうかの判断は本サイトでは行いません。時期の要件が別々であることを踏まえて、専門家にご確認ください。
月謝が5万円を超えなければ、書面は要りませんか。
金額は契約1件あたりの総額で見ます。入学金・受講料・教材費・関連商品の販売など、契約金の総額が5万円を超えていると対象になる。月謝が5万円以下でも、入学金と年間の教材費を含めた総額が5万円を超えていれば対象になり得ます。ただし期間の要件が先にあります。消費者庁「特定継続的役務提供」Q&A Q27は、1か月単位で更新される月謝制なら政令で定める期間を満たさないため原則として規制を受けないとしたうえで、教材の販売などで実態として期間を越えて拘束していると判断される場合は規制を受けることがあるとしています。金額と契約期間、それに教材費などで拘束しているかどうかを、あわせて見てください。
メールやアプリで渡してもよいですか。
第42条第4項に、政令で定めるところにより、相手方の承諾を得て、書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合、書面を交付したものとみなすという定めがあります。承諾を得ることが前提です。紙をやめて一斉にメール配信へ切り替える、という運用にはなりません。承諾の取り方は政令と省令で定められています。
雛形はどこかにありますか。
公益社団法人 全国学習塾協会が「概要書面の一例」と「契約書面の一例 その2(入塾約款の例)」をWord形式で公開しています。公益社団法人 全国私塾情報センターも条項を公開しています。本サイトでは雛形の配布はしません。所在をお伝えするところまでとします。自塾の運営に合わせた調整と、法令の要件を満たすかの確認は専門家にご依頼ください。
いま書面を渡していません。すぐに直せますか。
既存の契約まで直すのか、新規の入塾分から直すのかで、確認する先も作業量も変わります。前受金がある場合は、返金の扱いを書面にどう書くかで精算の根拠が変わるため、順序を決めてから進めてください。第9章に着手の順序を書いています。

本ページで参照した一次資料

  • 特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)(e-Gov 法令検索/https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057)。2026年8月9日に e-Gov 法令API から条文を取得し、第42条第1項・第2項・第4項、第46条第1項、第47条第1項、第48条第1項、第71条第1号を確認しました。第45条(前払取引の書類備付け及び閲覧等)は2026年8月14日に同APIから取得して確認しました。政令で定める金額は特定商取引に関する法律施行令 第27条で5万円とされています。 概要書面の根拠は第37条ではありません。第37条は連鎖販売取引における書面の交付で、別の取引類型です。
  • 消費者庁「特定継続的役務提供」(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/continuousservices/)および同Q&A。役務の定義、場所と対象者の要件、除外、事業者の義務を確認しました。
  • 公益社団法人 全国学習塾協会「概要書面の一例」(https://jja.or.jp/wp-content/themes/bones_ver0.3/pdf/%E6%A6%82%E8%A6%81%E6%9B%B8%E9%9D%A2%E3%81%AE%E4%B8%80%E4%BE%8B.doc)。2026年8月9日に当社が取得し、配信されていることを確認しました。Word形式。
  • 公益社団法人 全国学習塾協会「契約書面の一例 その2(入塾約款の例)」(https://jja.or.jp/wp-content/themes/bones_ver0.3/pdf/%E5%A5%91%E7%B4%84%E6%9B%B8%E9%9D%A2%E3%81%AE%E4%B8%80%E4%BE%8B%E3%81%9D%E3%81%AE2.doc)。2026年8月9日に当社が取得し、配信されていることを確認しました。Word形式。
  • 公益社団法人 全国私塾情報センター「学習塾の開示書面・契約書面の条項」(https://zenso.or.jp/dantaisoshou/moushiire/%E5%AD%A6%E7%BF%92%E5%A1%BE%E3%81%AE%E9%96%8B%E7%A4%BA%E6%9B%B8%E9%9D%A2%E3%83%BB%E5%A5%91%E7%B4%84%E6%9B%B8%E9%9D%A2%E3%81%AE%E6%9D%A1%E9%A0%85)。2026年8月9日に当社が取得し、配信されていることを確認しました。Webページ。
  • 経済産業省・総務省「経済構造実態調査」(2020年)第5表(統計表ID 0003450271)。政府統計の総合窓口(e-Stat)のAPIから当社が取得し、割合は当社で算出しました。

本サイトは書面の雛形を配布しません。業界団体が公開しているものを案内します。自塾の契約が法令の要件を満たすかどうかの判断も行いません。条文と所管の窓口を示すところまでとします。